〇自然を守る。                       Vol.02
 今年のゴールデンウィーク(G/W)は
皆さん、どのように過ごされたのでしょうか?
 当店のある東京/亀戸ではG/W期間中は例年
亀戸天神の藤棚が満開となり、それに合わせて
「藤まつり」が催され大変な賑わいとなるはずでした。
 ところが桜と同様に藤の開花もかなり早くG/W中はすでに
藤の花はなく、訪れたお客様たちは一様にがっかりされました。

 亀戸天神の「藤棚」は写真にあるように
満開の時期には藤の花が池の水面ぎりぎりまで垂れ下がり訪れる人々を圧倒するほどの壮観さで江戸時代より親しまれてきました。
 ところが、数年前から天神様の藤の株が
弱ってきており年々花のつき具合が悪くなってきておりました。
 さらに境内の池と橋の改修を機会に藤の株の入れ替えを試みましたが、「根のつき具合」が悪く、昨年は花の咲き具合も散々な結果となってしまいました。
 この一年間、「土の入れ替え」「肥料の改善」などをして
昨年よりは藤の株も元気を取り戻してきたようですが
往年の「盛り」には「今一つ」といった具合です。

 訪れた方々からもいろいろなご意見をたまわりました。
 その中に、
 「以前は藤棚の下で座ってお茶を飲んだり、写真を取ったりと
 楽しめたのに、立ち入り禁止になっている・・。」 
   というご意見がありました。
 藤の株が弱ってきた原因は「大気汚染」「水質悪化」などいろいろ
推察できますが、その一つに
 「藤棚の下に人が立ちることで土が踏み固められた為。」
ともいわれております。
 そのため、「藤の養生」の意味もあって「立ち入り禁止」となりました。
 このことは最近耳にする「桜の下の宴会が桜を弱らせる。」との意見と
通じるものがあります。
 水芭蕉で有名な「尾瀬の湿原」は環境破壊を理由に一般人の
立ち入りが禁止されました。
 「広く人々に自然に接してもらう意義。」と
 「人間の進入自体が自然破壊。」という難問が見えてきます。

 ある学説によると・・
 「人が農耕を始めて森林を切り開き、牧畜を始めて草原の草を
  家畜に食べさせ、家畜の足で土が踏み固められた時点から
  自然破壊が始まった。」 とのことです。
 「自然を再生し、守る。」ことへ異議を唱える人はいないとは思いますが
環境問題関しての「先進国」と「発展途上国」の対立構造にも通じる
矛盾と、問題が含まれていると思います。
 

 たかが藤棚のことをここまで考えるのは大げさかとも思いますが
藤の花がなく例年より訪れるお客様が思いのほか少ない店内で
 「草花を愛でる心を持ちながらもそれを摘む人間は
  小さな自然破壊をしている。」なんて・・・
哲学的とも思えることを考えていたG/Wでした。 

written  by  Masaaki Yoshimura(05/06/2002) 

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