●サッカー/ワールドカップ                   Vol.04
 サッカー・ワールドカップに明け暮れた6月が終わろうとしております。
 フランス、アルゼンチンなどの優勝候補が予選で敗退したり
共同開催国の韓国がベストフォーに進出したり、なにより
日本が予選を一位で通過するも、決勝リーグ一回戦で惨敗したり
などに日本国中が一喜一憂した一ヶ月でした。
 私自身を含め普段サッカーに左程、関心がない人も巻き込んで
まさに「一億総にわかサポーター状態」となりました。

 新聞などの論調を見ると今回の日本チーム活躍はトルシエ監督の
チーム作りの戦略と各試合の戦術に因るところが大きいそうです。
 「フラット・スリー」とか「ワン・トップ」などの配置が戦略、戦術の基礎だと
聞くと、古く兵法にある「陣形」のことを思い浮かべます。
 三国志にある公明が編み出したといわれる「八陣の方」や
日本の三方ヶ原の戦いで
武田信玄の「鶴翼の陣」と
徳川家康の「魚鱗の陣」との対峙の話などです。
 たいした通信手段もなく
敵味方が入り乱れる昔の戦において、これらの
「陣形」の形式的な意義は認めるものの実質的な
有用性には以前から
疑問がありました。

 今回のワールドカップのゲームを見ると、
一流プレーヤーの個人技のぶつかり合いはもちろんですが、各チームの「陣形」「戦術」のぶつかり合いに興味が惹かれました。
 疑問氷解とはいかないものの、昔の戦もこのような陣形のぶつかり合いだったのではと想像ができます。
  他の球技、アメリカン・フットボールのフォーメーションや野球の守備シフトなど
 「陣形」を使うものはありますが、サッカーの場合フリーキックなどを除くと
 常に試合(戦)が止まることなく敵、味方が入り乱れる点でまさに戦を思わせます。

 昔の戦とサッカーを比べましたが、一方ワールドカップは
国と国との平和な戦いです。
 サポーターたちが自国の国旗を頬にペイントしたり
国歌を高らかに歌ったり、国名を叫んだりと観客席もにぎやかです。
 日本のサポーターも「日の丸」を振り、「君が代」を歌う姿が
TVに映し出されました。
 周りのムードに影響されたことも多少あろうかとは思いますが
必死に日本チームを応援する姿に、このような国旗、国歌の使われ方は私にはごく自然に映りましたしこれが本来の使われ方なのでは
とさえ感じました。
 一部で言われる
  「国旗、国歌をもっと教育現場で取り上げ認識させる必要がある」
との意見もこのようなシーンでは説得力がありません。
 むしろ自然に国旗を振り、国歌を歌い応援できる国にすることが
大切なのではと思います。
  もちろん政治家や、官僚だけでそのような国が実現するとは思いません。
 国民一人一人の努力が必要とは思いますが
 一部の権力が一方的に国旗、国歌の使い方を押し付ける事には反対します。
  日本チームのプレーのように自然に国旗、国歌で応援できるような政治をして
 もらいたいものです。

 ちょっと大げさな話になりましたが、ワールドカップが私たちに
素敵な夢を与えてくれた事は確かです。
 かくして、にわかサポーターの私と、同じく、にわかサポーターの女房殿
がTVの前で大騒ぎして日本を応援した6月が終わろうとしています。

06/29/2002

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