●真相の究明は?                      Vol.06
 ご存知の通り9月17日、小泉首相が
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を訪れ金正日総書記と会談しました。
 この会談で、従来かたくなに否定してきた「日本人拉致」を認め
そのうち7人が既に死亡しているとの報道に日本中が驚かされました。
 長い間、問題解決を心待ちにされていたご家族の心情を思うと
首相の言を待つまでもなく「返す言葉もない」憤りと無念さを感じます。

  このような一連の事態の中で
 外務省(国)の対応が問題となっております。
  通り一遍の謝罪だけで声明に署名をした
 ことに対する政治的是非はともかく
 今回だけではなく今までの国民やご家族への
 対応には疑問を感じます。
  もう少し行方不明者に対する究明や
 入手した情報の公開の仕方に
 真摯な対応が欲しいものです。
  これは外務官僚や政府の「国」「国家体制」への
 認識の問題ではないかと思います。

 究極的には国の存在意味、意義はその国民の生存、生活の保全と
人権の保護にあると思います。
 もちろん現在の国際社会において一国の一方的な
希望要求を通すことは難しく、そのために「外交」があると思います。
 もちろん、このような基本的な認識を官僚や政治家諸氏は
お持ちでしょうが、どうも現場では「手段」が「目的化」してしまって
いるように感じます。
 「拉致問題」は適当なところで妥協して、「正常化交渉」を
引き出すという官僚的な戦略が見え、真摯な奥深い外交センスが
感じられません。
 「おまえ達の為にやっているんだから俺たちに任せとけ!!」的な
感覚を覚えます。
   「拉致問題解決」と「国交正常化」のどちらが先かとの議論には私自身、
 外交の専門家ではないので明快に答えられませんが、「国交正常化」と
 同じくらいの情熱とプライオリティーを「拉致問題解明」に注ぐべきだとは思います。

 「日朝正常化交渉」が本格的に始まろうとしておりますが
北朝鮮が「拉致」という蛮行を認めた以上、客観的事実の解明と
真相の究明、さらにそれらの公開を一刻も早く行うべきだと思います。
 戦後の日本が国際社会に復帰することを優先するあまり
日本軍が行った蛮行をきちんと検証しなかった為、現在に至っても
責任の所在や、犠牲者の数などが論争の種になっていることを
思えば、「拉致事件」のしっかりした検証が将来の日朝関係にも
重要ではないかと考えます。

 朝日新聞(9/22朝刊)の声の欄に
ニューヨーク在住の在日朝鮮人二世の方の投書を目にしました。
 要約すると・・
    日朝首脳会談の行方を追って思いがけない展開に怒りと
     やり切れなさ、それでも未来の対する希望を探そうと、
     数日眠れぬ夜を過ごしている。
    「国が犯した過去の過ち」を語るとき、日本人やドイツ人の友人は
  こんな気持ちだったのだろうか。
    「祖国といわれた国が犯した
    現在の過ち」に始めて
  「加害者」の立場を実感する。
   一人の朝鮮人としてお詫びしたい
    気持ちでいっぱいだ。
    <中略>
   いつになったら、ともに歴史を
    作れる関係になれるのだろう。
   私たちは、試されているような
    気がする。
     以上

 このような声に両国の為政者はどう答えるのでしょうか?
 また私たちはどうすればよいのでしょうか?

09/28/2002

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